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翌朝、大瀧がまだ寝ていると母、歩美が部屋に入ってきた。
「雁真、早く起きて。友達が来てるわよ。」
「ん、誰…?」
「誰だっけ。萩坂さん?」
「そんな奴知らん。」
「あ、折咲千鶴ちゃんよ。」
「え!?」
大瀧は飛び起き急いで服を着替える。
「行ってきます!」
大瀧は急いで家を出る。
家の外に折咲千鶴がいた。
折咲は大瀧を見つけると微笑んだ。
「おはよ、雁真君。」
「おっはよーございまーす!」
「ごめん、早かったかな?」
「そ、そんな事ないっすよ~。」
大瀧は自転車を道路に出す。
「あれ、千鶴ちゃん自転車は?」
折咲は俯く。
「その、まだ乗れなくて…。」
「え、マジで?」
大瀧は自転車をひきながら歩く。
「んで、あの猫はどうなったん?」
「それについてちょっとね。あの後田中さんが来てこれをくれたの。」
折咲は鞄からカプセルが入ったビンを取り出す。
「何それ。」
「強力な睡眠薬だって。これを飲むと一瞬で眠れるの。」
折咲はビンからカプセルを一つ取り出し、口に含む。
カプセルが喉を通り、胃に落ちた瞬間、折咲の髪は長くなった。
大瀧はとっさに身構える。
長髪の折咲は大瀧の方を向く。
「雁真、昨日はすまなかった。それと、礼を言う。」
折咲は微笑んだ。
「え、お前ってあの猫?」
「そうだ。昨日、千鶴と話してここにいていいと言われた。だから、私はここにいる。大丈夫だ、力の加減も言語も覚えた。もう雁真に化け物とは言われない。」
「お、おう…。え、死んでなかったの?」
「もう死んでいる。二度死ぬことは出来ないだろう。」
大瀧は初めて冷静に長髪の折咲を見た。
(長髪の千鶴ちゃんも可愛い…。)
「それと、私の男嫌いは治らない。ただ、雁真と匠は別だがな。」
「おまっ、また騒ぎ起こすんじゃねえぞ。」
「心配ない。千鶴が起きたい時に起きるようになっている。私が何かしようとしたら千鶴が止めてくれる。雁真、本当にありがとう。」
「おぅ、元気がなにより!」
大瀧は短髪に戻った折咲と共に学校に向かった。
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