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折咲は三階の女子トイレにいた。
「うーん、普通のトイレなんだけど…。何かあるのかな?」
折咲はトイレ内を調べたが、特筆して目立った点は無かった。
もう一度笠松から渡された紙を見る。記述された場所に間違ってはいない。
「場所はここなんだけどなぁー。」
「あれ、その紙って。」
突然声が降ってくる。折咲が顔を上げると、目の前に年上の女子がいた。肌が日焼けしており運動部の雰囲気を醸し出している。
「君って笠松先生のクラス?」
「は、はい。」
「それって笠松先生から貰ったの?」
「そう、ですけど…。」
「じゃあ部活見学だね。それじゃ鞄持って。」
折咲は困惑しながらも言われるがままに鞄を持った。先輩女子は笑顔で折咲へと手を差し出す。
「じゃあ手を握って。」
折咲がその女子と手を繋ぐ。その直後、女子はいきなり鏡を勢い良く叩いた。
数度叩いた時、鏡は女子の手を飲み込み、すぐに二人を飲み込んだ。
「ひぇっ!?」
折咲は呆気に取られるままに、鏡の中に飲み込まれた。
大瀧と斎藤はトイレに入って来た男子生徒が消えている事に疑問を抱いていた。
その男子生徒はトイレを使うことなく消えた。しかし、トイレから出たところを二人とも見ていない。
「やっぱなんかあんだな、ここ。」
「何があるかは未だ不明だけどその何かは実在しそうだよな。」
二人が一旦トイレから出る。下校する生徒の姿がちらほらと見える。
「全くもって、普通のトイレだよな。」
「そう…だよな。」
「…ん、俺閃いたぜ。」
大瀧がずかずかとトイレに入る。やはり他の人はいない。
「要するにさぁ、このトイレ内で一瞬で出来ることだろ。例えば今は明るいから気づかなかっただけで、俺が点けた筈の電気が消えてんだよ。てことはだ。もっかい点けて…」
大瀧がトイレの明かりを点ける。
「んで、消す。」
トイレの明かりを消す。
瞬間、大瀧達は見知らぬ教室にいた。
「…あり?」
二人がその教室内を見回す。突如、拍手が響くと、ロッカーの中や教卓の下から隠れていたメンバーが現れた。
「なにこれ正解?」
戸惑う二人の下に先程トイレに入って来た男子生徒が駆け寄る。かなり小柄で平均身長より少し高い大瀧の肩辺りまでしかなかった。
「お前らすげえな!よくスイッチの謎に気づいたし!」
小柄な男子は大瀧に手を伸ばす。
「ようこそ、超能力対策部へ。」
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