言葉という規制と指令という禁句

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大瀧は改めて教室内を見る。 「あ、千鶴ちゃんもいるじゃん。」 折咲は大瀧の下に行く。 「んで、このメンツは?」 部屋には大瀧と斎藤、折咲を除いて男子が三名、女子が二名いた。窓は閉じられており外は暗闇になっていた。 一人の男性が大瀧達に丁寧にお辞儀する。 「どうも、笠松先生から連絡を受けているよ。先ずは自己紹介から。俺の名前は諸岡誠治(もろおか せいじ)。三年B組で生徒会長をしているから入学式に会ったかな。」 「あー、いたようないなかったような…。」 「ここの部長もしてるんだ。まあ、リーダー的存在かな。」 次に真っ先に大瀧の下に来た威勢のいい男子生徒が名乗り上げる。 「俺は吉川倶也(きっかわ ともや)!二年C組十四番!以後よろしくだぜ!」 斎藤が若干顔をひきつらせながら吉川に愛想笑いをする。 「最初の反応からしてあのトイレの仕掛け作ったのって吉川先輩ですか?」 「ああいや、それはあそこにいる奴だぜ。」 吉川は黒板に寄りかかって大瀧達を見る男性を指さした。 男の目は冷たさを帯びていた。斎藤と折咲はゾッとするが大瀧は特に驚きもせず男に近付く。 「どもっす。あの仕掛けってもうちょい分かりやすくならないもんすかね?」 男はしばし大瀧の顔を見つめ、その後にその場を離れ、椅子に座って眠った。 「…感じわり。」 「アハハ、ごめんね。彼はああいう性格なんだ。俺達にもあまり心を開いてくれなくてね。彼の名前は神袖禊(かみそで みそぎ)、二年B組にいるよ。」 「ん、じゃあ三年って諸岡先輩だけっすか。」 「いや、もう一人いるよ。女子の紹介がまだだからね。」 褐色の良い女子が手を挙げる。 「はいはーい。私は飛鳥、美空飛鳥(みそら あすか)。誠治と同じ三年B組でーす。」 眼鏡をかけた教養の高そうな女子が一歩前に出る。 「私は白井千恵(しらい ちえ)と言います。二年A組です。宜しくお願いしますね。」 三年二名、二年三名のこの教室内は不思議な色を滲ませていた。
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