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部活勧誘が終わり、三人が家に帰る最中、遠藤快に会った。
初めに気付いたのは大瀧であった。
「あれ、遠藤さんじゃないっすか。」
「雁真君と斎藤君を待っていたんだ。二人に話がある。千鶴ちゃん、悪いが二人を借りてもいいかな。」
「あ、じゃあ先に帰ってるね。また明日。」
「じゃあね~。」
折咲は大瀧達と別れた。
大瀧は遠藤に向き直る。
「それで話ってなんすか。」
「先日君達を襲って来たコートの男について分かった事がある。どこか店に入るか。」
三人は喫茶店に入った。
遠藤は迷わずカウンター席に座る。
店の若い店員は遠藤を見て頭を下げる。
「遠藤さん、ご無沙汰してます。」
「どうだ、前よりはバリエーションは増えたか?」
「はい、蕎麦屋と寿司屋で修行して来ました。」
遠藤は微笑む。
大瀧と斎藤は二人のやりとりから二人が知り合いであると分かった。
遠藤は大瀧と斎藤の方を向く。
「好きなのを頼むといい。金は俺がもつから安心してくれ。」
大瀧は辺りを見るがメニュー表が見当たらない。
「メニューとか無いんすか?」
「頼めば何でもあるから無いんだ。それがここの誇れる所だからな。」
斎藤は笑う。
「え、じゃあラーメンとか頼んだら本当に出てくるんですか?」
「マスター、ラーメン一つ。」
「はい。」
店員は店の奥に行く。
そこには寸胴がいくつもあり、店員は麺を茹でながら大瀧を見る。
「君は何にする?」
「え、じゃあ…」
大瀧は絶対に無いものを考えた。
「五百グラムステーキ焼き方はレアで。」
「かしこまりました。」
店員はラーメンを斎藤の前に置き、一段下がった自分側の机を叩く。
机の長方形の枠が反転し、そこには鉄板が現れた。
店員はその鉄板で五百グラムの肉を焼き始める。
「遠藤さんはどうしますか?」
「俺はコーヒーを貰おう。」
「かしこまりました。」
店員は肉を焼き終わると皿によそい、大瀧の前に出す。
大瀧と斎藤は放心状態である。
「マ、マジで出てきた…。」
「熱いうちに食べた方が良い。」
二人は恐る恐る口にする。
その味は今まで食べた物よりも美味しかった。
「うめぇ!」
二人は思わず叫んだ。
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