言葉という規制と指令という禁句

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池谷はT地路を右に曲がった。 大瀧達は影からその様子を見ていた。 「なんなんだあいつ?絶対俺達に気付いてたぜ。」 大瀧は道に出る。 「よし、俺は池谷の方を追うから三人は川崎を頼む。あの野郎、俺達に用があるみてえだからな。」 大瀧は斎藤達が止める時間を与えず池谷を追う。 笠松は大瀧を追う。 「二人は川崎を!」 「は、はい!」 笠松と大瀧はT地路を右に曲がり、斎藤と神袖は左に曲がった。 「待てコラー!」 大瀧は池谷へ全力疾走だったがあっさり笠松に追い付かれた。 笠松は走りながら大瀧の頭を叩く。 「いたっ!」 「無闇に突っ走らないの。そうやって私がコート男にやられたじゃない。」 大瀧は速度を落とす。 「…ごめん、なんか焦った。」 笠松は遥か前方にいる池谷を見る。 「彼は一切走ってないようだけどなんで追い付けないの?」 「分からねえから苛立ってんだよ。」 「池谷君はクラスではどんな生徒なの?」 「さぁ。あんま記憶にねえけどずっと携帯いじってたぜ。」 「暗い子なのね。」 池谷はいきなり立ち止まる。 大瀧と笠松も一定の距離をとって立ち止まる。 池谷は大瀧達へ振り返り、笑顔で話しかける。 「二人とも僕の家に来ない?お茶ぐらい出すけど。」 突然の提案に大瀧と笠松は動きが止まる。 池谷はゆっくり二人との距離を詰める。 「どうする?茶菓子くらいは出すよ。」 大瀧が一歩下がる。 「なんでてめえの家に上がんねえといかねえんだよ。」 「大瀧君まさか怒ってる?お茶じゃなくて牛乳にしようか。」 「だからてめえの家には上がら…」 「じゃあ上がらせてもらうわ。」 笠松はあっさりと池谷の意見に賛同した。 池谷は笑顔だが、大瀧は怪訝な表情を満面に出す。 「ふっざけんなよ!」 「私達がなんで彼を追ったか忘れないように。家の中なら私達が逃げられないのと同様に彼も逃げられないわよ。」 「…ちっ、その代わりコーラとかある?」 「あるよ。」 「よし、じゃあ行くぜ。」 大瀧達は池谷の家に入った。
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