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堕天狗の透視能力が俺に宿り、親父の情報が俺の脳内に流れ込んでくる。
「……悲しい人やね……」
「な、なんやて?」
ギョッとするオッサンをあわれみの目で眺めながら、俺は口を開いた。
「あんた……オカマだな?」
「な、何を言い出すんや、いったい」
「隠さなくたっていい、かわいそうに、年を取って尾羽打ち枯らしたオカマほど悲しいものはない」
同情したように俺が言うと、オッサンの小さな目からブワッと涙があふれ出した。
「♪ 大阪で~生まれた~オカマや~けど、大阪の街を~出よお~、大阪で~生まれた~オカマや~けど、あんたに~ついて行こうと~決めた~ ♪」
オッサンのタラコ唇から流れる悲しげなバラードと共に、親父の半生が俺の脳内を駆けめぐった。
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