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でかい図体で何もしないだけで店に居られるのは迷惑だ、帰れだと言っても毎日、詩織とやってくるクロウが閉まったドアを見た。
店の開店準備の仕込みをしていた詩織が顔をあげる。
『…子供のために?なんでだ?』
兵悟もエディの発言にこの時ばかりは戸惑う。
「店長!」
兵悟を呼ぶ声は大きく華やいだ音をしていた。
その声の持ち主、詩織に振り返る。
「なん「いつの間に妊娠したんですか?」
ニコニコと笑っている。
邪気のない笑顔が眩しい…と言いたい所だが、兵悟の顔が邪気のありそうな笑顔に変化した。
「妊娠出来るわけないだろう?学校で習ったよな?」
しかも、英文より聞き取れた単語だけで会話を膨らませた詩織にびっくりだった。
「はい!だけど、店長なら産めそうなんだもん!!」
「……クロウ」
超笑顔の兵悟に名前を呼ばれ、顔を青くクロウ。
あの日以来、クロウだけじゃなく、シロウも毎日店に顔を出すようになった。
詩織とクロウ、泰とシロウペアで出勤してきている。
波長が合うらしく、兵悟は何も言わないでいた。
クロウは人好きでもあり、人見知りでもある。
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