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 その人物のツイッター上のユーザー名はd********e。フォロー数は0。フォロワー数も0。  何故私がこんな人物に行き着いたのかといえば、話は簡単だ。ツイート検索をしたのである。  キーワードは「深奥」。そこまでありふれた言葉ではないが、誰も使わない言葉という訳でもない。実際検索してみれば、結構な数のツイートが表示される。  しかし、私の求める「深奥」とは、ただの言葉ではない。  オカルトというものに興味があり、あちこちに目を光らせている者ならばあるいは知っているかもしれない。 「深奥」はとある作者が書いた、自費出版本である。その数は十冊だけであり、現在その本が何冊残っているのかも、どこにあるのかもわからない。  この本は時折オカルト界隈で話題に上がることがある。  読んだ者は必ず発狂する。そう呼ばれている。  故に最後まで読んだ者は誰もおらず、内容はインモラル、グロテスクなどと実しやかに言われているが、実際のところはわからない。  さて、私は「深奥」というキーワードで検索をし、割って入る意味のないツイートを読み流しながら自らの求める情報を探していた。  即ち、「深奥」の情報である。
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