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街へ出ると相変わらず沢山の人が行き交っていた。
僕は宿に帰ろうかと考えたが、今帰っても無駄に時間を過ごしてしまいそうなので色々な店に寄ってみようと考えた。
まずは、食堂の近くにある防具屋へと足を運んだ。
「へい、らっしゃぁぁぁい!!」
五月蝿い店主が僕を迎えてくれた。
「おい坊主!装備を見に来たのか!!」
「は、はい…。」
高圧的な態度を取られたため、はいとしか言いようが無い。
「坊主!見るからに初心者じゃねぇか!」
「まだ、ゲームに巻き込まれたばかりでして…。」
「ちょっと待ってな!」
五月蝿い店主は何やら店の奥に入っていった。
店の中は壁に装備であろう服や鎧が掛けられていて、全身タイツや着ぐるみといった意味のわからないものまである。
「おい、坊主!」
店の奥から服を持った店主がきた。
「この装備は、坊主にやるよ!」
「えっ?」
「坊主の職業は人形術師ってヤツだろ!その職業は装備できる服が限られているんだ!
この店で坊主が着れる装備はこれだけなんだ!だから、この装備を坊主にやるよ!見るからに金もなさそうだからな!」
どうやらタダで装備が手に入った様だ。
「ありがとうございます。」
「ガハハッ!気にするな、坊主!」
「おい坊主!装備の仕方はわかるか!」
「教えてもらってもいいですか?」
「さっきの装備は、坊主のナビの中に入っている!ナビのカバンを選択して、着たい衣装を思い浮かべれば装備できるぜ!」
僕は言われた通りに操作した。
すると、足元から光が上がりその光が消える頃には、店主から貰った衣装に変わっていた。
「ガハハ!無事にできた様だな!」
「はい、色々とありがとうございました。」
「良いってことよ!困った時はお互い様だろ!」
新しく頂いた、深い緑色をした燕尾服に身を包み、僕は防具屋を後にした。
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