-城下街-

5/8

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
普通の世界でこんな格好をしていたら明らかにおかしいが、この世界では普通だ。 街中にも鎧を着た人や柔道着の人、動物のコスプレをした人だって居るのだ。 尤も、NPCなのかプレイヤーなのかの区別はつかない。 しばらく歩いていると道具屋の看板が目に入った。 僕は店の扉を開ける。 「いらっしゃいませー。」 可愛らしい店員が僕を迎えてくれた。 店の中はRPGでお馴染みの薬草やポーションが所狭しと並んでいた。 その中から僕はポーション10個とマリオネット用の修理キット3個を手に取り店員の所に行った。 「ありがとうございますー。 合計190Gになりますー。」 僕はナビを使い支払いをした。 購入した道具は自動的にナビの中に入るようだ。 僕はナビを操作しながら店を後にした。 日が沈んできたが町には活気があった。 「南の洞窟に危険な魔物が現れたらしいぞ。」 「じゃあ洞窟の近くに生えている薬草を取りに行けないじゃないか。」 町の人の会話が耳に入る。 普通のRPGならこういった会話がゲームを進める鍵になる。 しかし、僕はそんな危険な事はしたくない。 薬草なら道具屋で買えばいいし。 会話の内容に気を留めながらも、僕は宿に帰ることにした。 部屋で休んでいると何やら外が騒がしくなってきた。 「と、盗賊が来たぞぉぉぉぉ!」 「命だけは勘弁してくれ!」 「ヒャッハー、汚物はry」 若干世紀末が混ざっていたのは気のせいだろう。 めんどくさそうなのでこのイベントも無視しよう。 「さぁ、一緒に助けに行こうよ!」 ピエロの格好をした少年が不意に僕の手を引っ張る。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加