親の友と書いて、親友は誤字

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 事の発端は私の何気ない発言による。  「親友って、なんかおかしいよね」  場所はボウリング場。  愛用している11ポンドの球をなげ、見事に二連続ガーターを出した直後のことだった。  「なんで?」  送風穴で手を乾かしながら、紫さんが聞く。    「いや、親の友で親友ってなんか変じゃん?  なんか、親に決めつけられた友達みたいじゃん?」  私の言葉に六畳がうなづいた。  「言われてみたらねー……確かにそうだなっ!」  14ポンドの球を投げ、レーンにゴッという鈍い音が響く。  そして、そのまま球はガーターゾーンに吸い込まれた。    ロフトボールはやめろと、紫さんから注意が飛んだ。
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