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そいつの存在感は異常と呼べるものだった。
深紅の鱗と燃えるような紅い瞳。触れるだけで傷が出来そうな凶悪な牙。そしてなによりも人間の数万倍の大きさ。
翼のついた蛇。
僕は一人で怪物と対峙していた。
特定のレベル以上で難しい条件をクリアした後に出てくると言うゲームバランスをぶち壊したモンスター。俗に裏ボスと呼ばれる存在。
終龍ガノアリア。
今まで数々のプレイヤーが挑み、そして敗北していった。しかし、その歴史もじきに終わる。
「グワァァァァ!!」
ガノアリアは残りのHPが少なくなったようで鼓膜が破れそうな音量で叫ぶ。
《終龍の咆哮》。終龍であるガノアリアのみが許されたスキルで特定のステータス以下だと気絶状態にすると言うデタラメな技である。
これだけでもかなりのプレイヤーが苦しんだ。だが、レベルとステータスをカンストしている僕のキャラには効くことはない。
僕は叫びをあげる龍に光のような速さで接近し手に握っている聖剣を振るう。
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