妖怪と少女

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そのまま二人は隣に座って、だらだらと話を続けた。  気の抜けたラムネのような会話が続く。 「文は何してるの?」 「私はみたらし団子にしましたけど?」 「そうじゃなくて、普段何をしてるのかってこと」 「ああ。もぐもぐ。言いませんでしたっけ? 新聞書いてますよ」  一回で伝わらないような不親切な会話もお手の物である。 「へぇ。意外」 「なんで?」 「ずっと飛び回ってそうだったから」 「ネタ探して飛び回ってますよ」  すると、阿弥は眉をひそめる。 「そうじゃなくてさ、なんて言うかな、好きに飛んで、帰ったら寝ちゃう様な感じかと思ってた」 「もしかして馬鹿にしてます?」 「あは」 「こいつは……」  だらだらとした会話は、だらだらとした雰囲気のまま続き、そしてその雰囲気を継続させたまま終わっていった。  こんなぬるま湯の陽気が、この日も延々と続いていった。
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