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『……眩しっ。』 誰もいない屋上に、小さな呟きが響いた。 見上げる先には、嫌味なくらい青々と澄んだ空。 …いや、くらい、じゃない。もうこれは完全に嫌味だ。 どんなものも色褪せて見える、今の私への、当てつけなのだ。 『…全部、翳(かげ)ればいいのに。』 落ちた言葉はとても不満気で、私はなんて自分本位な奴なんだろうと自嘲した。 …ああ、 今日もまた、くすんだ一日が始まる。
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