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ーーここは、何処にでもある、普通科の公立高校。 私はここに入学して早1年と2ヶ月が経とうとしている。 授業に真面目に参加した回数は、右手の五本指で数えられる程。 後は空き教室の机に突っ伏して寝ているか、こうして1人屋上で過ごすかしていた。 この高校生活に、魅力なんてものは全く感じられない。 勿論、こんな勝手気ままな生活を送っている訳だから、友達なんてできる筈もなく、旗から見れば虚しい日々を送っている。 だけどそれに不満なんてものはない。寧ろ、誰とも関わりたくなんてないし、今更友達作りに励むつもりもない。 私の“華の高校生活”は、たった1人で淡々と、誰に知られることもなく終わっていくんだろう。 そんな事をぼんやりと考えながら、ヤケに鮮明に届く英語教師の下手な発音を、緩やかな風に吹かれながら聞いていた。
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