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つまり、
この布は、それ相応の“九十九神(神器候補)”を殺(くら)ってきているってことね」
「なるほど、敵は闘牛士だな」
「……本場もビックリなパフォーマンスね。
別に布を武器にするのは闘牛士だけではないわ。使い方次第では、布もれっきとした凶器よ。じゃんけんでも、鈍器(グー)よりも強いでしょ?」
「パーは紙だろ」
「日本ではね。布の地域もあるわ。
まぁそんな雑学はさておき、真面目な話……少々厄介な敵(相手)よ。
この商店街を蹂躙する程の布で包み込まれた日には、“私達はともかく”、アンタは確実に窒息するわよ。
当然そうなれば、私達も無事には済まないけどね」
「ふ~ん。これがね~」
エコバッグを持った少年はそう言うと、視線を商店へと戻し、人差し指で目の前に張られた赤い布に触れようとした。
「辞めといた方がいいわよ。“あぁなりたいの”?」
しかし、少年の指先が赤い布に触れる前に、少女によって阻まれた。
エコバッグを持った少年は、一旦、黒髪の少女へと振り返った後、視線を少女が指差す方――自分の左上空へと振り向いた。
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