彼女のいない日常

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忘れたいとか、忘れようと思っているうちは無理だろうな。 もっと自然な形で、考える時間や割合が減っていくその先にある。 帰国する飛行機の中で、日本を発ったあの日を思い出す。 同じように小さな窓から見下ろす街は少しずつ変わってきていて、建設中だったタワービルが完成していたり、あったはずの住宅地が大きな区画整理で無くなっている。 時間も時代も全て動いているのに、俺の気持ちだけあの時から何も変わっていない。 「明奈ちゃん、空港来たんだぞ。真理恵にも言わなくていいと言われて、今まで黙っておいたけど。」 待っていたら、会えたのかもしれない。 気持ちを伝えたメールを見てくれた彼女は、どんな気持ちで空港へ駆けつけてくれたのだろう。 真理恵さんは、俺が次に進むと決めていることを知っているから言わずにいてくれた。 楠は気持ちが変わっていない俺の背中を押すように、あの日のことを教えてくれた。 どちらが正解なのかは、俺が決めることだ。 次の恋愛へと切り替えるか、明奈のことを想い続けるか。 明奈、君が挫けそうな時、俺はその支えになれているかな。 本当は、すぐ隣で支えてあげたいんだ。
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