4379人が本棚に入れています
本棚に追加
結局、今でも彼女の会社の製品を愛用している。
店に行く度に、初めて会った時のことを思い出すから、行かなければいいのにと思うけれど、肌に合うものがそれなのだから仕方ない。
「Bonjour.」
仕事の合間に訪れた百貨店のコスメコーナー。端の方にある大きなテナントに、俺は定期的に訪れる。
そして、今日は化粧水とシャンプーを買ってから、クロワッサンが美味しいカフェテラスへと向かうことにした。
いつ来ても混み合う店内を避けて、通りに面したテラス席に座ると、ノートパソコンで仕事に関係ありそうなニュースに目を通す。
明奈と家にいる時も、こんな風に世の中の動向を見ていたら、眉間に寄った皺を指で押されたことがあった。
「キリッとしてて素敵だけど、皺が取れなくなっちゃう。」
って、美容部員ならではの視点で話しかけてきたんだったな。
懐かしみながら、画面をスクロールしていると、ふと視線を感じて、俺は隣の席に顔を向けた。
最初のコメントを投稿しよう!