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〈美馬さん、お元気ですか?〉
彩星さんからのメールだ。
明奈への気持ちを重ねつつも、本当に恋をしそうだった人からの連絡は、こんな時に限ってやってくるものだ。
こういうのを運命のいたずらというのかもしれない。
〈雨が降ると、美馬さんに助けてもらった日のことを思い出します。そして、雨は失恋のイメージだと言っていたことも。
彼女のこと、諦めていますか?本当は諦められないから、私に重ねてしまったのではないですか?思い出にしないといけないなんて、無理にすることじゃないと思います。
もし彼女が未来を決めていなくて、気持ちに変わりがなかったとしたら、一方的に美馬さんが気持ちの糸を切ってしまうなんて悲しいです。会えるなら会ってください。連絡できるならそうしてください。それから思い出にしても十分間に合うと思いませんか?待っていても変わらないなら、捕まえるしかないと思います。〉
この数日、俺のことを見ていたかのような内容に瞬きを忘れて文面に見入った。
〈私は、いずれ日本に戻るつもりでいます。やっぱり自分のしたいことばかりを追いかけていたら、周りはついて来れないこともあると思うからです。まだ悩むこともあるけれど、大切な人には全て伝えていきたいと思います。長くなりましたが、美馬さんの笑顔がまた見れたらいいなと思っています。〉
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