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角のない四角い機械から、愛しい人の声が聞こえてくる。
どうして、こんなタイミングなんだろう。
日本に行っていて、私に連絡をくれた?
だとしたら、すれ違いだ。
きっと、永遠にすれ違い始める運命の、最初のすれ違い。
「私、いまパリにいます。」
私が自分の居場所を告げたら、優しく微笑んだ表情が簡単に浮かぶ息遣いが聞こえた。
そして、指定された場所へ視線を向けたら……ずっとずっと会いたかった人がいて、私のことを見つけてくれていた。
私が見つけないとダメだと思っていたのに、美馬さんが見つけてくれたんだ。
どんな運命でも受け入れる代わりに、もう1度彼を見たいと願った想いが叶っていく。
そして、会おうと言ってくれた彼の気持ちに応えたいと思った。
仕事途中の私と山城くんは、信号が変わった横断歩道を渡っていく。
幻なんかじゃないと目の前の出来事を信じたくて、私は振り返って美馬さんに手を振った。
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