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椅子から立ち上がって、彼が私の元へと歩いてくる。
3年の月日は一層彼を素敵にさせていた。
私は、変われたのだろうか。目指す姿に近付くことは出来たのかな。
「……明奈。」
彼が私の名前を優しく呼んだ。
包み込むような温かい声が、私の心を落ち着かなくさせるけど、これは彼に恋をしている証拠だと思う。
お互いに正面から視線を合わせると、私を見下ろしていた彼が突然ひざまずいて、見上げる視線に変わった。
「辛い思いをさせてごめん。もう離さないから……だから。」
耐えられなくなった睫毛から、涙が落ちていく。
一粒一粒に今までの毎日が詰まっているみたいに、いろんな色をしているように感じた。
「僕と恋の続きをしませんか?」
彼の指先に乗せられていた手が引かれて、そっと唇が触れる。
「Veux-tu m’epouser?」
嬉しすぎて言葉が出ない私は、泣きながら何度も何度も頷く。
夢みたい。
諦めかけた恋が実ったなんて。
愛しくて仕方ない貴方から、こんな言葉が貰えるなんて。
ー「結婚してくれますか?」ー
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