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〈明奈に会いたいから、つい空を眺めてしまうよ。夜空の方が近い気がする。〉
〈私も、星空に気持ちが届くように願いながら見上げることがあります。〉
〈気持ちなら、もう届いてるよ。〉
〈足りなくて、また涼が他の女性に目移りしたら嫌なの。〉
隠し事はしたくないと言って、彼は離れていた3年間に時折触れる。
パリの街で、偶然にも私と見間違えるほど似た女性と知り合ったらしい。そして、私との恋に終止符を打たなくてはならない現実と、まだ余韻ばかりが残る気持ちの整理がつかず、気付いたらその女性に恋をしてしまったと打ち明けてくれた。
もちろん、私は3年間他の誰にも見向きしないで、強いて言えば彼氏=仕事みたいな毎日だったから、とても悲しくて、でも仕方ないと理解もできて……複雑な心境になった。
〈あんなこと、もう二度としないよ。だって俺には明奈しかいないんだから。〉
私がこの話題を突っついても、嫌な顔せずに何度でも甘い言葉を伝えてくれる。
〈ねぇ、もし私が他の人に気持ちを移してしまったらどうする?〉
〈そんなの、迷うことなく奪い返しに行くよ。俺しか見えないようにしてやる。〉
離れていても、まるでそばにいるみたい。
今日も、私の人差し指は彼への気持ちを綴る。
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