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日本に戻って、年を越した。
年末は会えるかと思っていたけど、彼は彼でパリの家族と過ごすことになり会えなかった。
ただ、お互いに家族に報告はしておこうということは決めていたから、それぞれが家族に相手のことを話しておくまでは済ませることになった。
「結婚?!」
まぁ、こんな反応が返ってくることは容易に考えていたから、私は驚かない。
先に母親にだけ、結婚前提だと報告して指輪を見た途端、相手のことを根掘り葉掘り聞いてきた。
「店舗にいた頃にお客様でいらっしゃって……。」
「あらぁ、まるでドラマね。」
「縁あってお付き合いしてたけど、3年くらい前、仕事の関係で彼はフランスに戻ることになってしまったの。それでお別れをしたんだ。」
「別れたの?お互い好きだったんじゃないの?結婚するってことはそうよねぇ?」
母親は大の月9好きで、イケメンとなれば食いつきが早い。
「お父さんも昔はすごくモテモテだったのよ。映画俳優さんみたいだったんだから。」が口癖だ。
「悲しい別れだったけど、私が仕事でフランス本社に行くことになって、偶然パリの街で再会したの。」
私以上に瞳をキラキラさせる母親。彼を会わせたらその美麗さに倒れるんじゃないかと今から心配になる。
「ちなみに、彼はフランスと日本のハーフなんだけど。」
「フランス?ハーフ?!」
先が思いやられる。
母親の興味を一層引いてしまった。
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