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「涼、良かったなぁ。」
電話の向こうで喜んでくれるのは豪太だ。今は拠点としているオーストラリアにいるらしい。
「お前はどうするんだ、ずっと遠距離じゃかわいそうだろ。」
「涼に言われたくないなぁ、それ。3年近く放置したりしないからな、俺は。ちゃんとコンスタントに会ってるからご心配なく。結婚だって考えてるし。」
情けないだとか、しつこいだとか散々言われてきたけど、明奈と再び出会い、未来の約束をしたと母親に言ったら、大喜びしていた。
母親と同じ日本人、しかも我が家にはいない女の子だ。きっと明奈なら可愛がってもらえるはず。
「…失礼します。」
扉をノックして、父親の部屋へ入る。
会社の応接のような大きいソファに、父親はどっしりと座って新聞を読んでいた。
「お母さんから聞いたよ。相手がいるそうだな。」
「はい。」
「日本人だとか、そういうことは気にしていない。どんな方なんだ。お前もいずれ後を継ぐんだから、相応しいというのがどういうことか分かるだろう?」
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