東京タワーとエッフェル塔

7/13
前へ
/289ページ
次へ
「涼、良かったなぁ。」 電話の向こうで喜んでくれるのは豪太だ。今は拠点としているオーストラリアにいるらしい。 「お前はどうするんだ、ずっと遠距離じゃかわいそうだろ。」 「涼に言われたくないなぁ、それ。3年近く放置したりしないからな、俺は。ちゃんとコンスタントに会ってるからご心配なく。結婚だって考えてるし。」 情けないだとか、しつこいだとか散々言われてきたけど、明奈と再び出会い、未来の約束をしたと母親に言ったら、大喜びしていた。 母親と同じ日本人、しかも我が家にはいない女の子だ。きっと明奈なら可愛がってもらえるはず。 「…失礼します。」 扉をノックして、父親の部屋へ入る。 会社の応接のような大きいソファに、父親はどっしりと座って新聞を読んでいた。 「お母さんから聞いたよ。相手がいるそうだな。」 「はい。」 「日本人だとか、そういうことは気にしていない。どんな方なんだ。お前もいずれ後を継ぐんだから、相応しいというのがどういうことか分かるだろう?」
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4378人が本棚に入れています
本棚に追加