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帰りに、友達と合流して一緒にご飯を食べる。 皐月(さつき)とは、高校から一緒で……私のこと良く知っている。 「だから、明奈は高望みなんだってば。」 彼氏ができたって報告会のご飯。 皐月は、いつも私にそう言う。 「でも、それの何がいけないの?」 「いけないとか、そういうことじゃなくて。 今がモテる年齢なんだから、いろんな人を見てみたらってこと。」 「見てみたって、本気になれないもん。」 「じゃあ、その条件通りの人が現れたら、明奈は本気になるの? 実際そんな人と付き合ったことないのに……自分に合うって思う?」 「付き合ってみなきゃ分かんないでしょ?」 「だから、それと一緒。 どんな人でも、付き合ってみなきゃ分かんないの。」 言われてること、正解です。 それは分かってるんだけど……憧れちゃうような人と出逢いたいんだもん。 「もし、その通りの人が現れたら、ちゃんと捕まえなさいよ?」 「もちろんよっ!」 好きな人には極端に弱気になる私のことを知っている、皐月だから言えること。 このお店をグルっと見渡すけど、そんな人はいなくて。 今日も、誰かのためじゃなくて自分のためだけに着飾った外見が、何だか悲しい。
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