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仕事中、また通り掛かったりしないかな……とか、あの女性が買い忘れを思い出して戻ってきたりとか……願ってみたものの、いつも通り閉店のアナウンスが流れた。
都心にある、有名なデパート。
1Fにあるコスメコーナー。
外国のブランドで、オーガニックの商品も取り扱っていて。
香りが自然だから、嫌味じゃない。
もちろん売る側だから、シャンプーもリップも自社のものを使う。
さっき来た女性、似たようなものを売っているこのフロアで、どうしてここを選んできたのだろう。
見た目で判断するつもりじゃないけど、どちらかというと……もっと派手に広告を出しているブランドが好きそうなのに。
人は見かけによらないって、そういうことなのかな。
皐月に報告するのは、もう少し後になってからにしよう。
その人を捕まえろと言われても、それができる可能性は低いから。
それに、彼女がいたら出る幕ないし。
報告しても、高望みだと言われるのがオチだから。
だけど、やっぱりもっと知りたいんです……貴方のこと。
仕事中から、気になって仕方ない。
通り掛かる人を見て、先輩に睨まれるほど。
一目惚れ、なのかなぁ。
でも、それとは違う感じがする。
目が合った、その瞬間に……吸い込まれたような。
そんな感覚がする。
カラコンかと思ったけど、とても自然だったから……違うと思う。
とても神秘的なグリーンの瞳。
一瞬よりも、少しだけ長い瞬間で、その瞳に吸い込まれたんだと思う。
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