30人が本棚に入れています
本棚に追加
モノクロカラーの小さな魔法使いは、都会の上空から夜の摩天楼を見下ろしていた。
月が強く輝いている。
「ねんねんころりよおころりよ。ぼうやよいこだねんねしな。」
彼女は呪文のように歌った。
「この都会も、いずれ私の手中に落ちるのかと思うと、興奮しちゃいますねえ。」
深紅の瞳をぎらつかせ、その魔女は微笑んだ。
……彼女は、この上なく、そして今までにない、
人類<史上>最強の、怪物だ。
黒の魔女はビルから飛び降りた。
刹那、体が浮くような感覚。足が地を離れた感覚。
束の間の解放だ。
しかし、すぐ眼下のアスファルトは、待ってましたとばかりに重力で魔女を手繰り寄せた。
時速10、20、30。
魔女は笑っていた。
「例え地球でも。例え相手が地球でも、私を殺せやしない。」
40、50。
「なぜなら私は神だから!!」
60、70。
0。
魔女は砕け散った。
最初のコメントを投稿しよう!