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まずは本間が駆け足で接近していく。
杖を風の切る音と共に振り上げ、叫ぶ。
「ぶっ飛べ!」
餓鬼は寸前に食らいつこうとしたが、合金には敵わず。
頭を真上からかち割る。
恐ろしげな顔面が、驚愕、そして苦痛に飲み込まれていった。
「おととい来やがれ!」
餓鬼は杖に仕込まれた強力な魔法により消滅した。
断末魔だけが残り、やがてそれも宵闇に溶けていった。
「わたしの出番、無かったね。」
「ごめん。相手が弱かった。」
「別に、いいよ。」
本間は杖をくるくると回す。
何十回ともなく繰り返した結果、染み付いた癖だ。
「これで終わりだね。」
「妖怪の気配はない、かも。」
「じゃあ、帰ろうか。正直眠くて仕方ないんだ。」
二人はその場を後にした。
公園は、再び妖怪をその身に宿す時まで、静まり返る。
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