プロローグ

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「っ~~、そう思ってんなら、イチイチ観客席から物を投げんなよ! この牛乳娘がっ!!」 「なぁっ!? う、う、う、牛乳言うなっ! この変態っっ!!」 「イッテエエッ!! ーーって、だからいちいち物を投げるなああっ!!」 無駄に育った乳を片手で隠し(いや、全くぜんぜん隠れてないのだが)、かぁーっと顔を赤らめた巴の第二投目がピンポイントで一投目と同じ場所に炸裂した。 だからなんの罰ゲームだよ、コレ? 「ヘンタイヘンタイヘンタイヘンタイ! 孝乃の大・変・態っ!!」 「ウシチチウシチチウシチチ! ウシチ、いてえっ! だから物を投げるなって何回も言わせんな!! この乳だけ女があああっ!!」 俺も巴も人目をはばからずギャーギャーと言いあうもんだから、ハッ! と、気がついた時には会場中が爆笑の渦で包まれていた。 おぉ。いい感じに張り詰めいた会場の空気は一体どこへやら…… とてもじゃねーけど、これから真剣勝負をやるというような空気じゃない。 あぁ、もう! あのお転婆娘のせいで、全部が全部台無しだよ!! て言うか去年もそうだったけど、普通これから試合する選手に向かって物を投げる馬鹿がいるか普通!? 「…………ご、ごほんっ! 戌塚、そろそろ試合を始めてもいいか?」 と、そこへ主審が唖然とした表情を元に戻し、何事もなかった様子で尋ねてくる。 まぁ、この大会に限らず、俺が決勝に姿を現す度こんな珍事を起こしてりゃ、流石の審判団も扱いに慣れもするわな。 まったく、嫌な顔の覚えられ方をしたもんだぜ。
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