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「いや~最初の一撃は流石に危なかったよ。まさか、タカちゃんも同じこと考えてるなんて思わなかったな~~。あ、コレが噂の以心伝心ってやつ?」
「はぁっ!? サラッと気持ち悪い事抜かしてんじゃーねよ、タツ!! そういうお前こそ、いつもに増して随分と余裕そうじゃねーか!!」
正直、ヤル気を削がれるので俺は無視するつもり満々だった。
だけど辰巳があまりにも寒気のする発言を口にするもんだから、俺は思わずクワっと目を釣り上げ突っ込みを入れてしまう。
いや、入れずにはいられなかった。
しかし、辰巳は俺の心情を察する気も見せず、のらりくらりと話を続けてきた。
「ん~~? そんなことないよ~。だってタカちゃん、試合する度にドンドン腕を上げてくるし」
「嘘つけ! 本当にそう思ってんなら話しかけてくんな!!態度で示せ! 態度でっ!!」
「えぇ~~、つれないな~タカちゃん……折角、久しぶり会えたってのにさ。もっとお話しようよ~」
「ああああああっ! もうっ! 泣きそうな顔でそんな事言うなぁっ!! 本気で寒気してきたじゃねーかっ!」
「うぅ~~、ひどいよタカちゃん。試合前、トモちゃんとはあんなに楽しそうに話してたてたくせに……」
「アレが楽しそうだとっ!? 何処をどう見たらそういう風にーーって」
竹刀とボケと突っ込みの応酬をバシバシと繰り広げていた俺たちだったが。
「ヤアァアアアアッ!!」
突然、俺の言葉を遮る様に、辰巳はトンっと体を後ろに引き、その下がりざま、逆胴を目掛けて鋭い一撃を放ってきた。
「な、なにぃっっつ!?」
ま、まずい! 完全に虚を突かれた!
しかも引き際にさりげなく手元をカチあげられちまって完全に両手が万歳の状態なっちまってるし、前に出ようが後ろに引こうが今からじゃ全然、間に合わねーっ!
ちぃっ! ならば、ダメで元々っ!!
「ゼエエエエエエエエエアアアアアアアッ!」
辰巳の剣線が、俺の逆胴を断とうとした刹那。
俺は左手にグッと力を込め、大地を蹴り砕く勢いで左足蹴り出し、風を烈く様に竹刀を思いっきり振り抜いた!
「ドオオオオオオオオオオオオオッ!!」
「メエエエエエエエエエンイヤアアアアアッ!!」
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