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一時間後。
「こんなものか??」
雅は、数度自分の文章を読み直して満足げに頷く。
【コンコン…】
生徒会室の扉がノックされる。
役員の誰かしか入って来ることのできない生徒会特別フロアなのだから今ノックをしたのももちろん生徒会役員のうちの誰かなのだが、礼儀として生徒会役員は皆、ノックしてから入室する。
「開いているぞ」
雅は、生徒会の書類に目を通しながらノックに返事を返す。
程なくして扉が開けられ楽しげな稔と葵が入ってくる。
「??」
雅は、そんな二人に視線を向けて怪訝な顔をしながらも手元の確認済みの書類に判を押して行く。
「その様子だと生徒会長挨拶は考え終えたみたいだね」
「みーちゃん、どんな挨拶考えたの??」
稔は、雅の仕事の速さに感心しながら生徒会長専用の机に歩み寄ってくる。
そんな稔を追い越して楽しげに駆け寄ってくる葵は興味津々と言った様子で雅に話しかける。
「…読むのか??」
雅は、どこか恥ずかしげに葵に問いかける。
「え!?いいの??」
葵は、雅の言葉に嬉しそうに顔を綻ばせて喜びの声を上げる。
「…葵たちなら…」
雅は、やはりどこか恥ずかしげにそう言いながら葵に原稿用紙を差し出した。
「わーい!!!」
葵は、飛び跳ねながら原稿用紙を受け取ると早速その内容に目を通す。
その隣にはいつの間にか稔が立ち同じように原稿用紙を覗き込んでいた。
雅は、そんな二人に一度だけ視線を向けるとどこか諦めたように書類整理に戻ったのだった。
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