始業式は大型スクリーン…

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数日後。 今日は、新年度の始まる日。 つまり始業式当日。 雅は、不機嫌さを隠しもせずに席についていた。 「…(不愉快だ)」 雅は、心の中で悪態をつきながら本日何度目かのため息を漏らす。 「トウドー??眉間にごっつ皺寄ってんで??」 雅に話しかけてくる関西弁の男子、荒巻 滋。 「滋か…」 雅は、滋の気楽な問いかけに思わずため息をもう一つ零す。 「な、なんやねん!!人の顔見て溜息つくなや!!」 「ああ、悪い…少し疲れているんだ…」 雅は、傷ついたーと言って泣き真似をする滋を見て苦笑を浮かべるとそう言って弁解する。 「お?何や??雅が翌日まで疲れを長引かせるなんて珍しいな??昨日なんかあったんか??」 「いや、別に昨日何かあったわけじゃ…どちらかと言えば今からの事を考えての疲れだ…」 雅は、そう言って心底疲れたような表情をする。 「ん??…ああ、生徒会役員かいな!!」 滋は、初め雅の言葉に訳が分からないと言う顔をしていたがあることに思い至ったのか嬉しそうに声を上げてそう言った。 「…滋。声がでかい…」 「すまんすまん…まぁ、雅の気持ちも分からんでもないわ。生徒会役員は毎年生徒の人気投票によって選ばれるんやもんな。ファンの騒ぎも半端ない」 滋は、ニコニコと笑いながら雅を元気付けるようにそう言って肩をポンポンと叩く。
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