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「どうかしたんですか？」
「え」
唐突に尋ねられ、信爾は首を捻った。
真火は信爾を見上げたまま、眉間に皺を寄せた。
「…こんな顔、してますよ？」
「あ…」
言われ、初めて眉間の皺に気がついた。
「兄弟喧嘩でも、しましたか？」
図星を突かれ、何も言えなくなってしまう。信爾の様子を見て、真火がくすくすと笑った。
「仲が良いんですね」
「…兄弟喧嘩なんてものじゃないんです。私が勝手に…兄上は私を心配して下さったのに」
はぁ、とため息を吐いて下を向くと、真火の声が優しく響いた。
「…相手を心配したり、怒ったりするのは、相手を想う気持ちが強いから。だから喧嘩は、仲が良い証拠なんですよ」
真火は微笑んだ。
「…頼爾様は過保護ですけどね。私にもいろいろと口うるさいんですよ？」
「ふふっ」
信爾は思わず笑っていた。さっきまでどんよりと重かった心が、少しだけ軽くなっていた。
「ありがとうございます、真火さん」
「いいえ、信爾様が笑ってくれて私も嬉しいです」
「そういえば…今日はどのようなご用事で？兄なら中に…」
「今日はあなたに会いに参りました、信爾様」
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