はじまり

6/6
前へ
/6ページ
次へ
(相っ変わらずデカい家だな。) と、ここに来る度に思わされる。 そりゃそうだろう【サラリーマンやってるオヤジが30年ローンで建てたウチの家】の20倍くらいの敷地面積がある。と以前ともよに聞いた。 「いらっしゃーい。」 ご令嬢のお出ましだ。 「こんにちわっ。」 「オス。」 「失礼します。」 「元気かー。」 挨拶にも性格出るなー。 「よー、ともよ。ケーキでも焼いてんのか?」 エプロンを着ているともよに、だれもしなかった質問をぶつけてやった。 「うん♪さくらの大好きな、オレンジケーキ。」 「へぇ、そりゃ楽しみだ。」 ともよとは小さい頃から仲が良くって、コイツの作る菓子はホントに美味いんだよ。 「後でみんなで食べましょ。それより真紅が早く見せたい物があるってうるさいから、屋上に行ってみましょっか。」 「こんな熱い日に屋上なんかで何やってんの?」 光介から当然の質問。 「私もなんにも聞いてないわ。」 どーもあのチビすけはサプライズのつもりだったらしい。 しかしこの時の私は、ホントにサプライズをもらわされるとは、まったく思ってなかったね。 夏休みだったし私もふねけてたかもな。 まー、何を言っても後の祭りだ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加