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「夏!秋!」
光介の声で目が覚めた瞬間、自分達の置かれた状況を思い出して戦慄した。
「戦争…。」
目の前で起きているそれはまさにその言葉通りであり、剣や槍、弓矢、さらには火の玉や雷などが飛び交い、装飾が施された甲板はそのほとんどが見る影も無い。
「奏!」
光介が小振りの剣を片手に駆け寄ってきた。
「それ…どうしたの…?」
「拾った。そんなことより、こっち!」
慌ててついて行った先では、桜が、見知らぬスーツの男と共に小型船に乗り込んでいた。
「光介殿、お急ぎ下さい!」
桜の隣の男が叫ぶ。
私達が船に乗り込むと、スーツの男は即座に舵をきり帆船から一目散に離れて行く。
当たりが静まり返ると、私はハッとした。
「…夏っちゃんと秋くんは?」
「多分さっきの奴らに捕まった。……その後は…わかんねー…。」
詰まりながらも桜が口を開く。
「……真ちゃんは?」
「……………。」
暫く沈黙が続く。
「真紅郎さまは敵襲があった後、姿を見受けられませんでした。恐らくは船が奇襲を受けた際の衝撃で、海に投げ出されたものと思われます。」
と、スーツの男が淡々と述べた。
私は愕然とした。
どうして………どうしてこんな事に。。。。
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