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「俺たちも今日泊めてよ。」
「類とも仲良くなりたいし。」
腕を離して俺に続き理玖がもっともらしい口実を作った。
少々棒読みだったような気がするが、大丈夫だろう。
そんなことに気付くような鋭い双子じゃない。
鈍いんだ。
蘭は。
俺たちが今まで進展を計れなかったのはその鈍さ故だ。
藺はわかってても面白そうなら最初っから気づかないフリで1人面白がってるズルいやつ。何度おもちゃにされたことか…。
類となんて仲良くなる気はない。
皆無だ。
玄関のときの様子からすれば蘭に好意を持ってるのは確実。
俺はアイツをライバルと認定する。
だから、まずは類という人物をよく知ることからはじめなくては。
類の蘭への好意は人としてなのか、女としてなのか。
出来ればラブ(LOVE)ではなく、
ライク(LIKE)の方であって欲しいのだが。
こんな時の嫌な予感程当たるものはない。
普段はズレまくるくせにこういう時によって当たるんだ。
勘がいいのか悪いのか…。
嫌な予感を感じ取ってしまった自分の勘が恨めしい。
「別に構わないよ。部屋はいくらでも空いてるし。じゃあ早速3人にはお買い物行ってもらおうかな。人数増えちゃったから夕飯の材料足りなくなっちゃったわ。」
藺に財布とエコバッグを渡された。
その時の表情を俺は見逃さなかった。
表現としては悪いがニタニタと厭らしい笑顔。
あれは、気づいてる。
確実に気づいてる。
今回も高見に見物人になるつもりだろう…。
また藺のおもちゃになるのは癪だが、今はそんなこと言ってる場合じゃない。
これで、最後だからな藺。
もうおもちゃになんてなんねーからな!
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