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「で、結局類が来た理由はなんなの?」
嘘みたいな本当の話からの沈黙を破り類に聞いた。
再婚するからだとしてももともと知り合いだし、類のお母さんだって良く知ってるから顔あわせの必要もどんな人なのかとういう説明も必要ない。
再婚するならどーぞご自由にって感じだ。
「ホントになにも聞いてないんだな。俺、今日からこの家に住むことになったんだ。」
思いっきり深いため息をわざとらしく吐いた後に言われた言葉。
「は?なんで?」
類の言葉に私が間抜けな声を上げる。
「あの2人今日、籍入れたんだって。」
耳を疑いたくなるような言葉。
て、ゆーか普通娘たちの承諾ナシに籍入れる?
再婚話きいたその日が入籍日ってどうなのよ?
いくら忙しくても事後報告はないでしょう。
どーなのよ!?
そこんとこ!
自分の顔から血の気が引いていくのがわかる。
「じゃあ今日から私たち、」
ニッコニコの藺の言葉。
やめて!
それ以上は聞きたくない!
「きょうだいだね。よろしくね。妹たちよ。」
これまた満面の笑みの類。
「なんで私たちが妹なの?」
脳内にクエスチョンマークが大量発生しているんだろう本気で分かっていない藺の呑気な口調。
違う!
疑問に思うところ違うから!
「俺のほうが誕生日先だから。俺が兄貴だ。」
胸を張って自信満々な類。
「うわっ。最悪。」
いつもは優しい藺も類の前だけは毒舌だ。
「そんなに嫌がられるとさすがの俺も傷つくよ?」
口を尖らせて拗ねる類。
「勝手に傷ついてなさいよ。しかも何で疑問形なのよ?」
容赦ない藺の言葉の攻撃。
この2人はむかしっから変わんないなぁ。
なんて遠い目で現実逃避をしてみる。
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