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少年は自宅で花火が見える位置で手首にカッターを押し当てる
だが、白く透明な儚げな手によって止められる
「え…」
少年は、白く透明な儚げな手を頼りに見上げるとそこには膝の上に乗せていたはずの花火柄の浴衣を着た少女が居た
「浴衣、ありがとう」
フワリと笑う少女を見て、少年は先程から濡れている頬をまた、涙で濡らす
「どーいたしまして」
作った笑顔は歪だったけれど、その笑顔を少女に向ける少年
「ダメだよ?死んじゃ」
悲しそうに笑う少女を見、少年は今まさに自分が何をしようとしたか思い出す
「うん……ごめん」
罪悪感が訪れた少年は下を向く
「あのね……」
少女が何か言いたそうな音色でいった
「何?」
音色を聴き、顔を上げる少年
「花火、見にいこ?」
迷惑にならないかと少女は、表情で訴える
そんな少女に少年は何も言わず、只々、 頷く事しか出来なかった
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