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「人魚は災いの元だ。海に捨てよう。」
老いた漁師が声を低めてそう言った。
「……でも。」
若い漁師の視線は人魚の白い肌に釘づけになっている。
妖しく美しい生き物に魅入られ瞬きも忘れた顔つきに他の漁師たちは身も凍る思いをした。
「早く、早く捨てよう。」
にわかに男たちの輪が乱れ始める。
砂浜の上から古い木の小舟を押してくる者、人魚の体を再び網で覆う者、
「でも病気で弱ってるんじゃないのか?。海に捨てたら死ぬんじゃないか?。」
人魚に魂を喰われた者はそう説得を試みる。
そんな様子をライカはジッと見ていた。
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