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2階の角を曲がって…。ここか!!
上条の情報でたどり着いたのは分厚い鋼鉄で閉ざされた1区画の部屋。
勢いよく扉を蹴破るとその部屋の隅っこに苦しそうにうずくまる1人の少女が。
「おいっ!大丈夫か!?」
体を抱え状態を確認してみる。煙を少し吸って意識が朦朧としているようだ。命に別状はないが早く抜け出さないと!
ぐったりとした少女を抱きかかえ、来た道を振り返る。
「っ!?、そんな!!」
そこには全てを焼き尽くさんとする炎が目前まで迫っていた。
「落ち着け相原。他に何か脱出できそうな箇所はないか?」
他の脱出経路は…、上条の指示で辺りを見回してみる。
あった!あの窓から…!!
僕は少女をしっかり抱え、高飛びの要領で窓ガラスを蹴破り脱出を試みる。
「はぁっ!!!!!」
気合一閃!
細かいガラスの破片を散らしながら宙を飛ぶ。
2階建ての建物からのダイブ、水纏を使っているとはいえ人ひとりを抱えているので無傷では済むまい。
それでも胸の中で苦しそうに呻く少女を見て思考を切り替える。
”無事に還すんだ!”
そんな声にならない決意にも似た声が頭に響いた刹那。
僕と少女を包み込むように発現したのは…、水の鎧だった。
それは次第に球形に姿を変えてゆき自由落下する僕たちを守るように包んでいく。
いや、これは僕がやっているんだ。思いが決意へと変わり、決意が力へと帰結する。
地面が目の前に接近する。僕は着地の瞬間に水の鎧を拡散させた。
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