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拡散させて落下の衝撃を最小限に抑えようと言う思惑はどうやら叶ったらしく、はじけて水浸しになりつつも無事、無傷での生還を果たした。
「けほっ!…ごほ!ごほ!」
肺の中の濁った空気を吐き出し新鮮な空気を取り入れる。
「ごほっ!ごほっ!…ここは…?」
どうやら意識が戻った少女がぐったりとした様子であたりを見回す。
「大丈夫?危ないところだったね。もう少しで爆発に巻き込まれるところだったよ。」
「…爆…発? …爆発!?」
すると少女は目をカッと見開き、燃え盛る建物に再び入ろうとした。
「どうしたの!?そっちは危ないって!!」
かなり取り乱した少女の手を取り、進入を阻止する。少女は泣きそうな顔で訴えた。
「離して!中に友達がいるの!!!」
「なんだって!?」
僕はたった今、命からがら逃げおおせた建物を見上げる。
まだ生存者が居たのか…!
疲労で震える足に鞭打ってさっきの部屋に戻ろうとする。 その時…。
紅い閃光が視界を埋め尽くした。
くらんだ目が回復したとき、さっきまで僕たちがいた唯一生存可能な部屋が………
真っ赤な炎と共に炎上していた。
最悪な結末が頭をよぎる。
「わたしが…一緒に行こうなんて言わなければ…。」
そうつぶやく傍らの少女は力なくその炎上している部屋を呆然と見つめていた。
いま、この状況でもう1人の生存は絶望的だ。
自分の無力さに唇を噛み締めた…、その時!
「サキちゃ~ん!!!」
炎上する建物の横から誰かの名前を呼ぶ声が聞こえた。
「えっ…?」
その声に反応を見せたのは、傍らの少女だった。
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