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「ユキちゃん!!!」
二人の少女がお互いの無事を喜ぶように泣きながら抱き合う。
そうか、あの子がもう1人の…。
微笑ましい光景の奥、建物の付近に1人の男が。
”誰だ、あいつ…?”
その男は僕の視線に気付いたのか、奥の林道へと姿を消した。
見るからに怪しい男。…だったが僕にはその男は少女の無事を安堵したかのように見えた。
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「いてて…。どこだここ??」
爆風に飛ばされ近くの茂みに突っ込んだ俺、松本徹はさらに10m下に直落し頭に大きなコブをつくったのだった。
「こんな時に俺はなにやってんだよ、情けねぇ…。優たちは大丈夫かな…?」
やるせない自分に毒を吐きつつ、もといた場所へと帰ろうとする。
しかし、そこに4、5人くらいの男の集団が駆けてきた。その手には大振りの皮袋が1人ひとつずつ。
もう日も落ち薄暗かったせいか、男たちは俺の存在にぎりぎりまで気付かなかった。
俺を認識した男たちは…明らかに動揺していた。
「あんたたちどうしたんだ?そんなに慌てて。」
声をかけてみると男たちは互いに目配せをする。アイコンタクトと言うやつだろう。
そして見るからに怪しい男たちはアイコンタクトを終えると…いきなり殴りかかってきた。
俺はそれをとっさに避け、後方に距離をとる。
「っ!?なにしやがる!!」
ただ殴りかかってきたと思った俺は男たちが手に持っているモノを見て驚愕した。
鋭く光る刃光。男たちはサバイバルナイフで斬りかかってきたのだ。
もしさっき避け損なっていたら…。冷たい悪寒が全身を襲った。
どれも大柄な男の中、ひと際デカイ大男が口を開いた。
「悪いがこれを見られちゃ生きて返すわけにはいかねぇ。」
1人の男が口を開く。これってなんだよ、と考える暇もなく男がまた口を開く。おそらくリーダー格だ。
「悪く思うな、死んでもらうぜ!!」
その言葉を川切りに男は再びナイフを片手に斬りかかって来た。
「…燐火~リンカ~」
俺は斬りかかって来た男の稚拙な攻撃を寸前で避け、がら空きの懐を掌底で突いた。
「がふっ!!」
うめき声をあげて男は後ずさる。そして…爆ぜた。
「なにっ!?」
男たちは何が起こったか分からない表情で俺から距離をとる。
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