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何か…!何かないのか…。この状況を一発で覆す逆転の一手は…!
緊張で汗ばんだ拳をぎゅっと握り締める。その手は炎よりも熱い熱を帯びている。
このままいたってどの道子供たちは助からない。なら、いちかばちか…!
俺は覚悟を決め下半身に力を込める。
足裏で炎をブーストさせて推進力に変える特攻技”炎天”。
うまくいけば子供だけを救出し、男たちを吹き飛ばすことができる。
だが、失敗すれば…子供たちへのダメージは計り知れない。
本当にうまくいくのか?
いや、本当にうまくやらなきゃいけないんだ!!
心の中で己を奮い立たせた。そのときだった!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
俺たちがいる雑木林全体を大きな揺れが包んだ。
まるで俺の決意に応えるように。
そして目の前で信じられないことが起こった。
男たちが子供を人質に立っている岩盤。
その頑強そうな足場が揺れとともに崩壊したのだ。
それもただ崩壊しただけじゃない。
岩盤は男たちと子供たちを分断するように二つの大地へと姿を変えた。
「な、なんだ!?何が起こっている!?」
焦って動揺する男たち、その手中に子供たちは居ない!
俺はこの一瞬を逃さなかった。
「覚悟しろよ、お前ら!!!」
足に目一杯の火力を込める。
俺を抑えていた人質というリミッターはもう存在しない。
そのことが俺の火力をさらに増大させた。
「炎天壱ノ型”焔鬼”~エンキ~!」
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「バカヤロウ!!!!無茶しやがって、何かあってからじゃ遅いんだぞ!!!」
と、急いで駆けつけた様子の主任が全身びしょぬれの僕を見て激しく叱咤した。
「すいません主任…。」
いつもは気だるそうにしている主任がここまで心配してくれるなんて。
普段仕事してなさそうな主任だけど少し見直した。
「怪我なんかされたらこっちの給料減るんだよ!!こちとら管理職なんだよ!!」
前言撤回。主任は自分の減給を心配していたようだ。
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