~デアイシモノ~

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「だが今回はよくやってくれた。被害者もたいした怪我とかはなさそうだしな。」 そういいながら涙を流し合って抱き合う少女たちを流し見る。 よかった。まだちっぽけな力でも救うべき命を救うことができて。 僕は泣きじゃくる少女たちを見ながら微笑んだ。 「なにニヤついてんだ相原。お前やっぱりロリコンなんじゃないだろうな?」 そこにあらわれた上条が疑わしい視線で僕を突き刺していた。 「相原さん…やっぱり…?」 「ち、違うよ!!そんなんじゃないって!」 「へぇ~。お前ってロリコンだったのか(笑)」 「主任まで乗らないでくださいよ!!」 いつの間にか僕たちを囲む輪で談笑が起こっていた。 ついさっきまで生きるか死ぬかを演じていたとは思えない、とても穏やかに。 昔の僕と比べるとありえない心境の変化だ。 これも引っ込み思案だった僕に外の世界を見せてくれた徹のおかげかな。 あれ?徹がいない。こういう輪の中にはいつも中心に立っている徹の姿がそこにはなかった。 そういえばあいつ、爆風で吹き飛ばされた後どうなったんだ? 「主任!徹は?あいつ吹き飛ばされて…。」 すると主任は一転して怪訝な表情を浮かべる。 「吹き飛ばされた!? どっちにだ?」 主任は険しい顔をしながら辺りを見回す。 「あっちの雑木林に…。」 僕は徹が飛ばされた方角、さっき少女が走ってきて謎の人物が姿を消したその方角を指差した。 「あっちだな?ちょっと行って来る。…心配だ。」 …多分主任が心配しているのは徹ではなく給料なんだろうが…。 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!! 「きゃっ!なんですか?」 その揺れは突然だった。周りのみんなが立っていられないほどの地震が襲う。 「っ!?一体何なんだ!?」 しかしその揺れには少し違和感があった。この場所が揺れているのではなく他の場所の揺れに無理やり起こされているような。 そんな感覚だった。 ゴゴゴゴ……。 揺れが収まってきた。感覚が鋭い人なら今のは能力で引き起こされた必然だということは察しがつくだろう。 しかしこれほどの揺れを他の震源の副産物として引き起こすのは並大抵の力ではない。 おそらく土の大陸の、それも高い能力をもった人物と断定したほうがよさそうだ。 「お前たちはそこにいろ。絶対ついてくんなよ。」
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