~デアイシモノ~

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「それじゃ、次の問題いくよ」 「どんとこいやーーー!!!!」 心地よい日差しが照っている今日この頃、僕と徹(とおる)は次の筆記試験に向けて、 単語帳を開いていた。 「問20、創造神『ノア』と破壊神『ザギ』による人間を巻き込んでの一大戦争の名称は?」 ちなみに答えは『大神戦争』。人類の運命が大きく変わった出来事んだから、いくら赤点常習犯の 徹でもわか… 「第二次ポエニ戦争!!」 …んないのか。 「ハァ…」 「なんだ?違うのか??」 そんなドヤ顔で言われてもなぁ…。 「第二次ポエニ戦争は紀元前の出来事だからな。」 「そんな…バカな…。なんでそっちを知ってんだ!?」 それはこっちが聞きたい…。 こんな感じでこいつ、松本徹は正真正銘のバカ一直線なやつである。 そんな徹と僕、相原優(あいはらゆう)は5大文明の交流を目的とした近代都市『ターミナル』の 中にある特殊能力を養成する学校『中央魔導学院』に通っている。 20年前の『大神戦争』の終結後、世界に放たれた光は結晶となり、人間がそれを守ることによって 闇に対抗するための力を得ていた。封印されたといっても完全に闇が消えたわけではない。 万が一闇が復活したときのために備え、能力の向上を行い、文明を栄えさせてきた。 こうして生まれた文明は五つ、火、水、雷、土、風である それぞれに異なった性質を持ち、その文明の人間はその文明の能力しか使えない。 これは血液の違いによるとためと科学的に証明されている。 20年という歳月でその文明の血に合った性質を持つ人間が淘汰されていったという。 そんななかで文明同士を共生させるためにできたのがターミナルである。 ーーーーーーーー 僕は10歳から7年間、ずっとここで過ごしてきた。 来たばかりのときは馴染めずに周りから孤立していった。 そんなときに… 「お前ここに来たばかりなのか?俺は松本徹、友達になろうぜ!!!」 と、唐突に声をかけてきた同い年くらいの少年がいた。 それが徹である。 徹は僕の返答を待たず、僕の手を引っ張ってターミナルのいろんなところを巡った。
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