エイラの誕生日

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私はエイラにキスをした。 目を見開き、驚くエイラは、後ずさりし、思わずベッドに腰をかける。 「サ、サーニャ!?いきなり何してんだよ!?」 「ふふ、エイラ、顔が真っ赤よ?」 そう言うと、エイラは焦ったように両手で顔を隠した。 私はそんなエイラにゆっくりと近づき、そして押し倒す。 「ほら、顔を隠さないで… もっと良く見せて…」 私はエイラの腕を顔からどかせ、そして再びキスをした。 今度のキスは先程とは違い、私の方からすぐ唇を離す。 「ね?入っていたでしょ?私の気持ち…」 未だ戸惑い続けるエイラに私は言葉を続ける。 「本当のプレゼント…それは私自身。私のエイラを愛する気持ち… ほら、これを見て?」 私は自分の頭の上を指差した。 「…リボン」 「そうよ、これが私の決心の証。」 「最初に気づいてくれるかと思ったのに、エイラ、全然気づいてくれないんだから…」 少し怒ったように顔を強ばらすと、エイラは少し顔を綻ばした。 「ごめんな、サーニャ… 私がハッキリと態度に示せないから…こんなこと、させちゃって…」 エイラは少し自虐的に笑い、そうしたかと思うとすぐにいつも通りの優しい笑顔を私に向けた。 「サーニャ、ちょっと頭をさげてくれ。」 言われるがまま、私は頭を下げる。―――リボンが取りやすいように。 「これで、サーニャからのプレゼント…サーニャは私の物だぞ。もう返してって言っても遅いんだからな!?」 満面の笑みを浮かべ、私を見つめるエイラ。私の大好きな人。 「喜んでもらえて良かった… ずっと大切にしてあげてね…?」 月明かりに照らされた二つの影が一つになった。 ―おわり―
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