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その建物は半球形のいわゆるドーム状になっている鋼鉄製の黒い建物で、入り口以外出入りできそうなところが一切無かった。 その建物の中にはいると、一人の受付がいて、その受付に身分証明書を提示すると、受付の人はそれを自分の目の前に浮かんでいるウィンドウスキャナーでスキャンして彼に返した。
身分証明書を受け取った彼は建物の中央の水色の円形のオーロラの様なものの前に立つとゆっくりとそのオーロラに触れた。すると一気に光が増し、次の瞬間彼の姿はなかった。
彼が降り立ったその場所は現実の日本だ。 自分がかつていた国に降り立った理由はそこで”狩り”をするからだ。 しかし狩りをするまでまだまだ時間があったため、彼は近くのコンビニに寄っていった。
「久しぶりだな。何年ぶりだろうか」
コンビニに入った彼はポカリと明治ミルクチョコレートを買ってコンビニから出て、そのまま街を徘徊していた。 現在時刻はすでに午後3時を回っていた。 学生が帰宅するその時間帯に彼は一人、建物の壁にもたれかかりながらポカリを飲み、ドデカイ電光掲示板を見上げた。
「あーあ、都会は便利だけど空気は悪ィし、人はゴミみたいに多いし、俺には会わェな。この環境。さっさと仕事終わらせて【畢竟幻夢】に戻るか」
そういいながらレイは街の中を徘徊していった。 ちなみにレイは都会と言っていたが、現在彼がいる場所は北海道の札幌市の街中だった。
レイは今まで超がつくほどのド田舎にずっと暮らしており、自然の中では海だろうが山だろうが、まるで庭のように走り回ることができるが、逆に人がごった返している大きな街は苦手で、実際畢竟幻夢にあるαシティーに定住したときは一人では何処にも動くことが出来ないほどだった。
それでも数ヶ月で何とか街の環境に慣れ、普通に暮らせるようになったが、それでもどうしても人だかりやたくさんの人が集まる場所は少し苦手なのだ。
そんなレイは出来る限り人と接触しないようにするため、建物の陰で時間を潰した。
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