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さて、この正五郎がイライラしながら闊歩している往来の先から。
全速力でこちらに向かって走ってくる若いおなごが。
「すりだ!」
おなごを追いかける男が叫びながら、こちらも全速力で走ってくる。
正五郎はすれ違い様に女を見やり、その後追ってきた男をその場でこかしてやった。
「なにするんです!?お侍さん!?あっしの財布が……え!?」
どやそうとした町人は正五郎の強烈な凄みによって言葉が出てこなくなってしまった。
「なんか文句あんの?あ?」
………正五郎は、無類の女好きであった。
とぼとぼと去っていく町人を尻目に、正五郎は
『いぃ~女だったなぁ~』
と、煩悩全開で太鼓屋へ向かったのであった。
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