第三章:『無力な自分』

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とにかく、俺達があんな目にあったのは確実に第三者の手による物で間違いはないことは全員がわかっている。 そうでなければ『フォレスト・タートル』のテリトリーに入ったりしないし、同じところをぐるぐる回るような迷い方はしない。 (まず…あれは幻惑系の魔法…しかも感覚まで支配するほど強力な……) 「とりあえず…直人君、亘君…ちょっとお話…しようか」 状況から推測し、考えをまとめようとしている俺と座り込んでいる亘に真友香は無表情でそう告げる。 その瞬間、亘はビクッと体を跳ね上がらせて立ち上がる。 なんでそこまで怯えるように…と言いたいところなのだが、真友香の目を見た瞬間、俺も同じように立ち上がってしまった。 完全に真由香の目が座っており、ど怒りだということが嫌が応でも判らされてしまったからだ。 静かにも程があるというほどその怒りようは静かで、正直トラウマになりかねないレベルだ。 だが、それだけじゃなかった。 「まず…いつから?昨日?っていうか昨日しかないよね?(ニコッ…)」 「えっ…と……はい…(あ…あの…真由香さん?目が笑ってないんですけど……)」 「じゃあ…なんで話してくれなかったのかな~?(ニコニコ)」 「あ…あんまり心配かけたく…なかったので……(いや…ホントマジで怖いんですけど……)」 真由香が無表情から急に笑顔になって俺に尋ねてきた。 もちろん目はまだ座ったままだ。 マジでさっきの方がまだマシだったかもしれない… 「私…言ったよね?遠まわしにだけど『いつでも相談に乗ってあげる』って…」 「はい……」 「それを言った矢先に言わないってどういうことかな~?ねえ…?」 「いや…」 「言っとくけど…庇護心からだったら……とんだ勘違いだからね?」 「うっ…(見抜かれてる…)」 「はぁ…… いい?最初だから許すけど…次こんなことをしたら許さないんだからね……」 「はい…」 真友香は一言一言に怒りを乗せて俺にぶつけたあと、どうやら俺を許してくれた(のか?)らしく、今度は亘へ説教を始めた。 「さてと…竜也が戻ってきたらこのまま解散ってことになるんだろうね…… 惺歌ちゃんは体調が優れないみたいだから先に帰ったけど…」 説教し終えた真友香はそう言いながら考え込む。 その様子に俺は苦笑する。 まるで先ほどの表情が嘘だったかのようだ。
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