第三章:『無力な自分』

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「うん…多分そうなるんじゃないかな? 森の監視は一応『バルバール・ヴォルフ』のみんなが担当してくれるみたいだから ただ、ちょっと竜也も含めて相談したいことがあるから後でどこかに集まらないか?」 真由香の言葉に俺はそう提案する。 それに真友香達は頷いて、30分後に病院の前にあるカフェで落ち会う約束をして俺は真友香達とは別行動を取ることにした。 気になることがあるのと確かめなければならないことがあるからだ。 (とりあえず…いろんなことが引っかかる…… まずは…) 俺は今までこ経緯と状況を踏まえていろんな推測を立てながら最初の目的地を目指した。 しばらく歩いているととある家の前にたどり着いた。 ここには『バルバール・ヴォルフ』御用達の医者が住んでいて俺がギルド研修中に怪我したらよく訪れた場所だ。 コンコン… 「へぇ~い…どちら様で?」 二回ノックして数秒後、扉の向こうからやる気のなさげな男性の声が聞こえてきたと同時に扉が開いた。 「ご無沙汰してます。賢樹(マサキ)さん」 「おぉ!直坊か!」 俺が出てきた少しぼさ毛の男性に挨拶すると彼は定着した呼び方で俺の名を口にする。 彼の名前は『東雲 賢樹(シノノメ マサキ)』ここに住んでいる医者で何故かエレジアの医療技術…例えば外科手術とかを知っている唯一の存在で、その技術と魔法を組み合わせた新しい医療技術を創り出した存在でもある。 さらに、エレジアの医療技術を知っていることで科学技術に関しては天才とも言われるほどの実力者である。 「で、今日はどうした?また怪我か?見た感じ元気そうだが?」 「いえ…今日は別件できました」 俺と会うなり楽しそうに質問をしてくる賢樹さんに俺はポケットに入れていた例の紙をいくつか取り出して彼に渡した。 賢樹さんはいぶかしみながらそれを手にとって眺める。 「これがどうかしたかい?」 「これに付着している物が何か調べて欲しいんです あとそれに関する情報をも… もしかしたら服の中に落ちている可能性もあるのでこれも預けます」 質問する賢樹さんに俺は服を脱いでそれを手渡した。
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